日報の転記や勤怠の集計、部材の確認といった作業は、一つひとつを見ると小さな仕事です。しかし、毎日繰り返されることで、年間では大きな作業時間になる可能性があります。 まずは、1回あたりの作業時間、発生する回数、担当する人数をもとに、年間の作業時間を計算してみましょう。数字にすることで、これまで見えなかった業務の負担や、改善の優先順位が見えてきます。 そのうえで、日報や勤怠のデジタル化、データ連携、蓄積した情報の活用へと段階的に進めることが、無理のない業務改善につながります。 製造業DXは、必ずしも大規模なシステム導入から始める必要はありません。日々の「探す」「聞く」「打ち直す」といった作業を一つずつ見直すことが、より効率的な業務の仕組みをつくる第一歩です。 まずは今日、自社で最も時間がかかっている手作業を一つ選び、年間でどれくらいの時間を使っているのか計算してみませんか?

「毎日、日報の入力や勤怠の集計に時間がかかっている。でも、実際にどれくらいの時間を使っているのだろう?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
製造業や建設業では、紙の日報、タイムカードの集計、Excelへのデータ入力、現場への進捗確認など、さまざまな手作業が発生します。一つひとつは数分で終わる作業でも、毎日繰り返し、複数の担当者が行っていると、年間では大きな時間になります。
こうした作業の問題は、時間がかかることだけではありません。手作業が当たり前になっていると、どこに改善の余地があるのか気づきにくくなります。
そこで今回は、日報や勤怠管理にかかる時間を計算する方法から、製造業でよくある隠れたムダ、そして業務効率化を進めるための具体的なステップまで、わかりやすく解説します。
自社の業務を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ日報や勤怠管理の手作業はムダになりやすいのか?
業務のムダというと、大きな問題や複雑な作業をイメージするかもしれません。しかし、実際には毎日の小さな作業の中に、改善できるポイントが隠れていることがあります。
たとえば、日報の入力に10分、タイムカードの確認に5分かかるとします。一度だけなら大きな負担には感じないでしょう。しかし、こうした作業を毎日、複数の人が繰り返していれば、年間の作業時間は少しずつ積み重なっていきます。
また、長年続けてきた業務は、いつの間にか「やって当たり前」になりがちです。紙の書類を回収してExcelに入力することや、月末にデータを一つずつ確認することも、必要な仕事として受け入れられているかもしれません。
さらに注意したいのが、同じ情報を何度も入力する二重入力です。たとえば、手書きの日報に記録した作業時間を、労務工数表と人工表の両方に入力している場合、同じ情報を複数回処理することになります。入力の手間が増えるだけでなく、転記ミスや確認作業が発生する原因にもなります。
こうした小さな作業を見直すことが、業務効率化や製造業DXの第一歩になります。
製造業・建設業で見落としやすい5つの隠れたムダ
では、具体的にどのような作業に改善の余地があるのでしょうか。
一つ目は、紙の日報やタイムカードの回収、転記です。手書きの内容を読み取り、パソコンに入力する作業は、毎日の積み重ねによって大きな負担になります。
二つ目は、月末の勤怠集計や工数確認です。記録に間違いがないか、従業員がどの現場で作業したのか、予定と実績に違いがないかなど、一つずつ確認する必要があると、担当者の負担が増えます。
三つ目は、部材や製品を探したり、現場の進捗を確認したりする時間です。必要な情報がすぐに見つからないと、担当者に電話をかけたり、現場まで確認に行ったりすることになります。
四つ目は、図面や設計データを見ながら発注書を作成する作業です。数量や規格を一つずつ入力し、間違いがないか確認する方法では、時間がかかるうえ、入力ミスのリスクもあります。
五つ目は、休暇届や休日出勤届などの紙書類の回覧と保管です。承認者が不在だと手続きが止まり、書類を探すにも時間がかかります。
これらの作業に共通しているのは、情報を入力する、探す、確認する、別の場所に転記するといった作業に多くの時間を使っていることです。
もちろん、すべての確認作業が不要というわけではありません。大切なのは、本当に人が一つずつ行う必要がある作業と、仕組みを変えることで減らせる作業を分けて考えることです。
自社の業務効率を数字で把握する方法
業務改善を始めるときは、まず現在どれくらいの時間がかかっているのかを把握しましょう。
計算方法はシンプルです。
年間の作業時間 = 1回あたりの作業時間 × 年間の回数 × 作業する人数
さらに、人件費に換算する場合は、次の計算式を使います。
年間の作業コスト = 年間の作業時間 × 1時間あたりの人件費
たとえば、3つの工場に関する日報の転記に、1日あたり合計50分かかっているとします。年間の稼働日数を240日とすると、転記だけで年間200時間になります。
ここに、月末の確認作業が毎月8時間発生している場合、年間でさらに96時間かかります。
つまり、日報に関連する作業だけで、年間296時間です。
仮に1時間あたりの人件費を2,000円とすると、年間の作業コストは約59万2,000円になります。
これはあくまで計算例ですが、普段は見えにくい作業時間を数字にすることで、業務改善に取り組む価値を具体的に考えられるようになります。
なお、人件費を計算するときは、給与だけでなく、社会保険料などの会社負担分も含めると、より実態に近い数字になります。
最初から正確なデータをそろえる必要はありません。まずは現場の担当者に作業時間を聞いたり、1週間だけ簡単な記録を取ったりすることから始めてみましょう。
製造業のモデル事例:年間約783時間の削減余地
ここで、鉄骨を扱う製造業のモデル企業を例に考えてみます。管理業務に関する手作業を洗い出し、デジタル化によってどれくらい作業時間を減らせる可能性があるかを試算しました。
勤怠管理や各種届出にかかる時間は、年間約441時間から約88時間に減少する想定です。日報の転記、工数計算、人工表の作成は、年間約300時間から約30時間に、出来高確認や現物探し、発注書の作成は、年間約200時間から約40時間になる想定です。
これらを合計すると、デジタル化前の作業時間は年間約941時間、デジタル化後は約158時間です。差し引きすると、年間約783時間、約83%の削減余地があるという試算になります。
1日7.5時間で換算すれば、約104日分に相当します。
ただし、これはモデル企業を想定した試算であり、実際の削減効果は会社の規模、業務内容、現在の管理方法、導入するシステムによって異なります。また、削減した時間がそのまま人件費の削減になるとは限りません。空いた時間を品質改善や生産性向上など、より価値の高い業務に活用することも重要です。
では、なぜこれほどの差が生まれる可能性があるのでしょうか。
注目したいのは、「探す」「聞く」「打ち直す」「見直す」という作業です。
たとえば、工場で部材の進捗を確認するために、担当者が現物を探したり、現場に電話をかけたりしているとします。部材にQRコードを付け、工程ごとにスキャンして進捗を記録できる仕組みがあれば、必要な情報を確認しやすくなります。
また、設計データと発注データを連携させれば、同じ数量や規格を何度も入力する作業を減らせる可能性があります。
つまり、業務効率化で大切なのは、今ある作業を少し速くすることだけではありません。そもそも繰り返す必要のない作業をなくすことも、大きな改善につながります。
業務効率化を成功させる3つのステップ
手作業にムダがあるとわかっても、すべてを一度に変えようとすると、現場が混乱する可能性があります。無理なく進めるためには、段階的に取り組むことが大切です。
ステップ1:日報や勤怠など、日々のデータ入力をデジタル化する
最初に取り組みたいのは、毎日発生する日報、勤怠、作業実績などの入力です。紙やExcelで管理している情報を、スマートフォンやパソコンから入力できるようにすることで、紙の回収や転記の負担を減らせます。
ただし、入力方法をデジタルに変えるだけでは、すべてのムダがなくなるわけではありません。次のステップで、データの活用方法を見直すことが重要です。
ステップ2:データを連携させ、二重入力を減らす
日報に入力した作業時間を工数管理に活用したり、設計データを発注業務につなげたりすることで、同じ情報を何度も入力する必要が少なくなります。
情報が一元管理されていれば、必要なデータを探す時間や、複数のファイルを照合する時間も減らせます。
業務システムを選ぶ際には、単に機能が多いかどうかではなく、普段使っているデータ同士を連携できるか、業務の流れに合っているかを確認しましょう。
ステップ3:蓄積したデータを経営判断に活用する
日報や工数などのデータが蓄積されると、業務効率化の次の段階に進めます。
たとえば、案件ごとの作業時間や原価を把握し、予算と実績を比較することで、コストの超過や利益率の変化に気づきやすくなります。こうした情報は、実行予算の管理や、今後の受注・生産計画を考える際にも役立ちます。
ただし、経営分析を始めるには、必要なデータが正しく記録され、つながっていることが前提です。まずは日々の記録を整え、少しずつ活用範囲を広げていきましょう。
製造業DXで失敗しないために気をつけたいこと
デジタル化を進める際には、ツールの機能だけでなく、実際に使う人の立場から考えることも大切です。
まず、現場で無理なく使える仕組みを選びましょう。事務所の担当者だけでなく、工場や現場で働く人も使いやすいか?
次に、一度にすべての業務を変更しないことです。最初は日報の入力など、効果を確認しやすい業務から始め、現場の意見を聞きながら対象を広げていくと、導入後の混乱を抑えやすくなります。
そして、導入前の作業時間を記録しておくことも忘れてはいけません。改善前と改善後を比較できなければ、実際にどれくらいの効果があったのか判断しにくくなります。作業時間だけでなく、入力ミスの件数や確認にかかる時間なども比較すると、改善の成果がよりわかりやすくなります。
今日から始める業務効率化チェックリスト
自社の業務を見直すために、次の項目をチェックしてみましょう。
すべてを一度に解決する必要はありません。まずは、最も時間がかかっている作業や、毎日繰り返している作業を一つ選ぶだけでも十分です。
月報の作成と入力作業、席までの連絡、紙の連絡票記入等ことが無くなくなりました。
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